「お月さまといっしょに」: Don’t Be Afraid Of The Dark

Amazonアフィリエイト申請をするぞと意気込んで二週間くらい放置していたような気がします。単にやる気がないだけなら良いのですが、全くネタがないんですよね。HyperCardのバイナリを見るプログラム書いてネタにしようかなとか考えてちょっと書いたりしたんですけど、まずC#が分からないので文法から手探りみたいなところもあって、先があまりにも遠い…。ネタにしたい以外にも理由があったりするんですが。

ネタないかなと色々考えた結果、せっかくBasiliskで環境を整えているのだから、その環境で動いていた昔のゲームに触れることにしました。HyperCardとかでよく見られる過去スタックをアーカイブする動きになんとなく便乗する形です。なんでも検索すれば出てくるこの時代に、自分の好きなゲームの情報が残ってないのはそれはそれで勿体ない気がするので。

お月さまといっしょに(原題:Night Light)

https://archive.org/details/NightLight_1995/Night+Light+Promotional+Clip.mov

夜が不気味だと思ったことはありますか。なんでもない壁の飾りが生き物のように見えてしまったり、側で眠る人の寝息が奇妙な機械の稼働音のように聞こえてしまったり。そうやって、眠れない夜を過ごしたことはありますか。明かりをつけて「なんだ、これだったのか」と確認する度、どうしてこれがあんなに恐ろしい何かに感じてしまったのだろうと、不思議に思う経験をしたことがありますか。

「お月さまといっしょに」はそんな夜の不思議さを綺麗に切り取ったゲームです。

1995年製の海外のゲームであり、原題はNight Light。日本語訳は「お月さまといっしょに」です。月の要素はゲーム中には全くありません。アイコン表示においては月の部分は省かれて、「いっしょに!」になっています。文字数制限に引っかかったわけではないと思うのですが、理由は不明。日本語版は、株式会社ジャパンオンラインのインタラクティブ・トイズ・シリーズの4作品目として扱われています。当時の定価は3980円です。付属のテキストを確認する限り、日本語版の発売は1996年でした。ちなみに対象年齢は3歳から9歳。

ゲームシステムは「音声誘導版ウォーリーを探せ」です。ヒント通りのものを画面の中から見つけてクリックするという、非常にわかりやすいルールです。海外だとPoint-and-Clickというジャンルっぽい。ジャンル?

起動するとまずは以下の画面。猫がPandora、犬がPixelです。下部にある絵はセーブスロットを示しているっぽいのですが、操作が下手なせいか毎回最初から始まります。

この画面の背後では、突然「ほら、坊やたち!降りてきない!パパが車の中で待ってるわよ!」という元気なおばさんの声がします。続けて、「坊やたち」と思われる子供の声。「Pandoraは外に出したの?」「Pixelに餌はやった?」というやりとりと、「あら、赤ちゃんはどこ?」「車の中だよ」という多分アメリカンなジョーク。というか何故夜中に一家総出で外出するんでしょうかね。今でも謎。

「それじゃ、出発!」という声を合図に、背景に窓枠の影が映り込みます。写りこむ明るさは、外からの光なんです。ここで、このタイトルが家の壁であること、飾られるのはペットの写真であること、この一家は室内の電気を消したことが一気にわかるんです。洒落てますね。

歌詞付きのテーマソングもここで流れてきます。「Don’t Be Afraid Of The Dark. ~It’s Just Imagination, Night Time Pass ~ , (Turn on) Night Light ~ Switch On the Magic Beam, ~ You’ll Get Big Surprise ~」この歳になっても聞き取れない英語です。元気よくというわけではなく、どちらかといえばささやかに、けれど軽快な曲です。これから始まる冒険に、綺麗にハマるんですよこれ。

そうして、二匹と一緒に車が出発するのを見送るところからゲームスタートです。「やった!みんないなくなっちゃった!」と冒険が心踊らせている喜ぶ猫のPanoraと、「隅っこで寝ていたい」という犬のPixel。

画面手前にいるだけなのに、この二匹はよく動くんですよね。互いに見つめ合ったり、こちらに目配せしたり、愛嬌たっぷりです。

「行きたいところをクリックしてね」とPandoraに誘われて、ステージ選択に移ります。車庫、裏庭、屋根裏、リビング、寝室、お風呂場、赤ちゃんの部屋、台所(あと一つはスタッフクレジット)。ゲームのボリューム的には普通なのですが、家族に対して部屋多すぎないかと小さい頃は思ったものです。お風呂が二階にあるのも奇妙な感じがありました。

Pixel曰く「広くて怖い」リビング編。入った瞬間に待っているのはUFO、鹿、謎の恐竜…。若干テレビやソファーあるので、かろうじてリビング感はありますが、まず普通ではないですね。ファンタジーの塊です。

この奇妙な画面の中で、Pixelが「にょろにょろチェス盤を出たり入ったり、変な龍」と探すべき対象を教えてくれます。画面を見て、該当するものをクリックすればクリア。

チェス盤は右下にがっつり存在し、龍も見た通り。ものによっては若干クリック判定が厳しい時がありますが、見つけるのに困る感じではありません。

これだけならば、特にギミックのないゲームです。しかし、「お月さまといっしょに」の面白さは、Pandoraが出題する時にわかるのです。

「テーブルの上で電話が鳴ってるわ。私が取ってもいいのかしら?」と問いかけますが、画面のどこを見てもそれらしきものはありません。テーブルの上にあるのは、UFOとペンギンと…。

こんなときは、画面右上の懐中電灯の出番になります。これを使うと。

鹿がいたはずの場所を照らすと、クッションに。

恐竜がいたはずの場所は、照明と写真立てに変化します。

これが、冒頭で書いていた「夜の不思議さ」です。真っ暗でバケモノだらけのリビングに懐中電灯を向けてみれば、ただの家具。暗さと恐怖心が作ったファンタジーは、懐中電灯で照らしてあげると一気に蹴散らされて、暖かそうな一家が暮らしている場所というリアルへと戻ってくる。テーマソングに出てくる「The Magic Beam」の電源を入れてあげれば、怖いものなんてなく、不思議な世界を探検できる。そういう体験を、このゲームは表現しているのです。

プレイヤーは、ファンタジーとリアルを懐中電灯を使って行き来しながら、二匹が指定するものを探していく。二層構造のもの探しをするというのが、この「お月さまといっしょに」なのです。なおPandoraがリアル側、Pixelがファンタジー側と明確に分けられてるわけではないです。

ちなみに、電話は、

ここです。ペンギンに見えていたやつですね。

こんな感じで、好奇心旺盛なPandoraと何かにつけてビビるPixelと部屋中を冒険していくゲームです。誰もいない夜の間だけにある、怖さと不思議さに満ちた暗がりを冒険する、夜の不思議さを追体験する、そんな素敵が散りばめられた、数ある大好きなものの一つです。

あとこれは余談ですが日本語版のセリフ聞いてる限り、ずっとビクセルだと思ってました。海外版の発売時の文章を見て初めてPixelって知りました。

生活試行:

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