手取川一合と東京と月曜日の終わらせかた

私はこの文章を、私を救うために書いています。たとえそれが、誰かを傷つける文章であっても。みたいなことを書き出しに加えて全力でアクセル踏み込んで言いたいこと書き散らしてってのも浮かんだのですが、でもそのスタンスで進んでしまったら吉田さんと手取川さんの話に本当に何も言えなくなってしまう気がしたので、やめます。

というのを2-4に中途半端に書いてたんですけど、結局放置していまして。今日が最終回なら恥さらしの一興として、まとめておこうかなになりました。飽きたら消すだけのアレですね。とりあえず書いてたことを切り貼りしてそれっぽい何かを書くやつです。

2-4、実在性で殴ってくるなら、実在性で応えなきゃって。その為の生身だと思ったので。

あくる平日、開店時間に合わせて一人居酒屋をやってきました。ギリギリカフェみたいな立ち位置の店とかファミレスで一人飲みはやったことはあるんですけど複数人で楽しむのが前提みたいな店で飲んできたのは初めてだったので新鮮でした。何やってるんですかね。

行ってきたのは石川の料理とお酒が楽しめるみたいなお店でした。酒盗と卵焼きと治部煮とツマミ少々みたいなのを頼みつつ、遊穂の青、萬歳楽 初音、手取川 あらばしりを飲みました。一人の後ろめたさで胃のキャパをこえて注文した気がして、でも食べ切れてしまうの怖いですね本当。店員の方から見たら携帯全く手放さずにひたすら飲んでるのやばいだろうなとか思ったりしたんですけど、酒がそこそこに回ってきたあたりで皆それぞれ忙しいんだから気にしてないはずと開き直ることに成功しました。アルコールって偉大ですね。

一人居酒屋の目的は、どうしても飲みたい酒があったからです。手取川。月曜日がガルラジ徳光2-4で焼き払われてしまったので、抜け殻になってしまった火曜日に入れたかったんですよね、何かを。チーム徳光に抱いてた希望とか幻想とかを「まあそれお前が勝手に抱いてたやつだしね」みたいな感じで破壊されてしまったので。考える時間みたいなが欲しかった。

手取川 あらばしり。一合千三百円位のお酒でした。お酒好きな癖に全く詳しくないので、「手取川 種類」とか「手取川 吉田蔵 違い」とか散々ググってからやっと注文したという。本当に何やってんですかね。あらばしりって手取川さんっぽいなってのが、注文時の感想でした。

味はとにかく美味しかったです。手取川。日本酒苦手な人に勧めやすくて、分かりやすくて、軽くて香りも良くて。綺麗に纏まってる味がべっこべこになった上にアルコールで増長してるお気持ちに上手くハマろうとしてくるし。飲み込めないテーマがっつりぶん投げてきた癖に親しみやすいの本当にふざけるなよ手取川ってなりました。酒に罪はない。本当にすみません。皆飲んで。すごく美味しいので。

石川の居酒屋、白山のポスターがあったんですよね。田園と星と街灯とみたいな感じで、めちゃくちゃに加工されて、でもそういうのに「行ってみたいな」って思わされて、なんとも言えない気持ちにさせられました。でも多分観光としてはそれが正しくて、なんとも言えない気持ちになってるより金出して行くほうが圧倒的に良いんですよね、きっと。

「東京に憧れる」感覚だとか、「地元が嫌い」「地元が好き」みたいな感覚だとか。私の中にそういう感覚が全くないんだなって言うのに、この歳になってやっと気づいたんですよね。前者については、そこそこに電車を乗り継げば着くようなところに東京があるからなのかもしれません。ただ、後者がまるっと存在しない自分がいるのに結構驚きました。改めて「地元ってどこ」って問われたら、答えられる場所がないんです。最寄りの駅、よく行く市街地、通った学校、これなのかなをいくつあげてみても、そこに好きも嫌いも執着も実感として湧いてこない。「出身どこ?」って聞かれて、自分のことなのに迷ったりします。時々に合わせて一番受けそうな奴を選んで答えればいいやってくらいの適当さ。聞いてきた音楽とかについて考えた方がよほど「地元に抱く気持ちってこんな感じなのかな」って感じがします。好きも嫌いも。

もっと思い切り離れてみなければ分からない感覚なのかもしれません。あるいは嫌なことがなかったのかもしれません(思春期を思い返せば、それなりに嫌なことは沢山あったはずなのですが)。あとは年齢の上昇に合わせて少しずつ活動場所が変わっていたりしていて、どこかに根ざすみたいなのがなかったからなのかもしれません。そうやって振り返ってみて、愛する場所も憎む場所も何も無い自分は、多分彼女たちのことを一生理解できないんだなって突きつけられたのが一番大きかった、2-4については。というかこれが本当にショックでした。言及も許されないんじゃないかなと考えたりもしていて、この文章が今日まで放置されていたのもそんな理由だったりします。今も迷ってます。

「東京に憧れる」感覚で思い出したことといえば、自分が初めて「東京」を意識したのはBUMPだったみたいなのがあります。多分中学生くらい。「東京賛歌」っていう曲があるんですよね。

嘘が多いとか 冷たいとか 星が見えないとか 苦情の嵐

勝手に選ばれて 勝手に嫌われた この街だけが持ってるよ

帰れない君の いる場所を

東京ってものの土地をちゃんと自覚するより先に聞いていて、「東京、可哀想な街なんだな」と思っていました。都会とかそう言うものよりも先に。そういう思いを持ちながら初めて「東京駅」に降り立った時に、「すごい空っぽじゃんここ、普通じゃん」ってなってしまって(東京駅周辺ってあんまり何も無いし当時の自分的に嬉しい施設もなかった)、多分憧れにならなかったのかなみたいなのもあるのかもしれません。

今思えば友人たちが沢山文化を知っていて、それを遠慮なく私に分けてくれていたから、そういう都会の恩恵というものを自覚することなく満足してたってのもあるのかもしれませんが。書けば書くほど情けなさが出てきますね。

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「東京に人がいれば、吉田さんは地元に戻ってこなかった」という指摘をしている方がいました。何かあった時に頼れる人や、踏ん張ろうと思える場所がなければ戻ろうなんてならないみたいなそういう感じのアレです。

自分の周りで「地元」を持つ人たちは、皆それぞれすごく普通に生きているんですよね。すごく普通に見えてしまう。裏でどれだけみたいなのも全く想像できないくらいに楽しそうにしていて、コミュニティを持っていて、「地元」じゃ無い場所に足をつけていて。時折出身の話題になったりもするんですけど、楽しそうに語る人も二度と帰りたく無いと言う人もいて、2-4を経てからは、その話題が出てくる度にやっぱりこれも自分には全く理解できない感覚なんだろうと思って勝手に虚しくなったりするようになりました。

理解できないっていう諦めで終わりたくないというのもあり、じゃあせめてそういう人にとっての「人」の一人にカウントされたいという気持ちがあり。誰かの希望になりたいのかもしれない。というか希望にもなれないのなら、立ってる意味もあんまりないのではみたいな。この辺あんまりまとまって無いですね。

ただ「理解できないんだな」については先日の岡崎旅行で「見えれば分かるのかもしれない」という感覚を得たりしたのもあるので、最近はそう絶望的に暗い気持ちにはならなくなりました。今度徳光に足を運ぶ予定です。観光客風情で無責任に、傲慢だと思うんですけどケリをつけたい気持ちは嘘じゃないので。

2-5については全然飲み込めていないのですが、ただ良かったこともいくつかあって、まず二人が同じ場所で話してるんですよね。2-4で投げ合っていた言葉は、どれもこれも決定的に断絶を生みかねないものばかりでした。言ってしまった言葉達は取り消せないし、一度作ってしまった断絶は基本的に修復できないと思っている自分としては、そうやって互いに酷い言葉を投げ合ってもまた同じブースで話すことができるんだというのは救いでした。

**この辺はTwitterに投げたやつの焼き直しを含む**

改めて2-4を聞いた時に、手取川さんに対して吉田さんは本当に期待していたんだなと思いました。手取川さんからすればそれは全て勝手なんですよね。そういう意味では「勝手に理想を押し付けて期待した方が悪いんだ」みたいなところになったりするのですが、じゃあ「期待した方が悪いよね、終わり」になってしまっていいのかなみたいに思う気持ちもまた。当然傷つけたり縛ったり受取手にとって不快だってのは大前提として。

でもそういう形の他人への執着がなければ人間関係って発生していかないんだよなとも思うんです。好きとか嫌いとか希望とかいわゆる愛だの恋だの、執着とか願いとか希望みたいなのがなければ、そもそも他人と関わらなくなるわけで。そうやって交友関係が狭くなっていくなら、人生百年も要らないなと。三十年くらいでいいと思ってますけど。そういう面倒臭くて扱い辛い気持ちがなければ誰かと人間関係を構築するってすごく難しいのではと思うんです。人間関係、生きていくのにそれなりに必要な要素だと思うので、全否定したくないんですよね。自分は人間関係クソ苦手なんですけど。

でも期待は時に確実に毒になるというのは事実であって、その塩梅ってどうすればいいんだろうなというのが謎です。もしかしたら、期待じゃなくて応援の形をとればいいんだって収まってくれたらそれはそれで綺麗に落ち着くのかもしれないのですが。

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2-6に寄せてあの二人に思うことといえば、「ハッピーエンドになってほしいな」くらいです。

「得たもの」が貴方にとって価値があるもので、「失ったもの」が無価値なものであるなら、
それが結果的に「ハッピーエンド」という栄誉ある称号を与えられるだけのことなのです。

拡張少女系トライナリー 22 IEEE 802.5
 

最善なんてわかりません。そもそも共感もできていません。それでもそうあって欲しいなと願うことくらいは許されないかなと思いつつ、とりあえず酒を買ってこようと思っています。

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